2017年 12月 02日
竹生嶋 辛口純米 無濾過生原酒[吉田酒造]

醸造元:吉田酒造有限会社
URL:http://chikubu-sakura.com/
住所:高島市マキノ町海津2292
電話:0740-28-0014
創業:明治10年(1877)
使用米:玉栄
精米歩合:60%
日本酒度:+7.0
酸度:1.9
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,404円(税込み)
滋賀県の酒で一番最初に飲んだ酒が吉田酒造の『鳰の竹生嶋』でした。
酒蔵のある海津は琵琶湖の最北端に位置する、今も古い町並みが残る町で、平成の大合併によって高島市に編入される前は、カタカナ名のマキノ町にありました。
古くより北陸と京都をむすぶ交通の要所として栄えた港町で、江戸時代から昭和初期まで、若狭から山越えで運び込まれる米や海産物などの北陸の物資を、琵琶湖を利用して京阪神に運ぶ湖上交通の中継地として栄え、最盛期には100隻近い丸子船(輸送船)を擁する大きな港町でした。
吉田酒造は明治10年(1877)に創業し、地元では50%のシェアを越える地元に根ざした酒蔵です。
吉田酒造は現在、『竹生嶋』 『花嵐』 『緑樹影』と使う米によって主に3つのブランドを展開しています。
主力銘柄の『竹生島』は、奥琵琶湖に浮かぶ周囲2kmの小島で、古来より、神の棲む島とも言われた信仰の島。都久夫須麻神社(竹生島神社)と宝厳寺(西国三十三所三十番)があり、基本人は住んでいません。

ちなみに、いまは『竹生島』ですが、以前は『鳰の竹生島』(におのちくぶしま)でした。
うすいコハク色で、木樽のような香りがしました。
飲み口は酸が強く、渋味と苦味も若々しく、パンチのある酒です。
干し草、藁のような香ばしさは終始続きます。
辛口純米と言うようにキレキレですが、しかし背後から旨味が顔を出して後味はさわやか。
料理を選ぶかな?と思いましたが、結構どんな料理にも合いました。
10年ぶりに飲みました。
うまいです。
お気に入り度:3
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2017年 11月 28日
北国街道 純米酒[山路酒造]

醸造元:山路酒造有限会社
URL:http://www.hokkokukaidou.com/
住所:長浜市木之本町木之本990
電話:0749-82-3037
創業:天文元年(1532)
使用米:玉栄
精米歩合:60%
日本酒度:+3.0
酸度:-
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,458円(税込み)
奥琵琶湖の東岸に位置する木之本には今も宿場町時代の古い町並みが残ります。
古くは浄信寺の門前町として発達し、やがて余呉郡の中心地となります。近世に入り北国街道が整備されると、北国街道と北国脇往還の分岐点として、また東海道や中山道へ通じる要衝として重要な位置を占める宿場町になりました。
現在この木之本には2軒の酒蔵があります。
一軒は全国にその名が知られる有名蔵、『七本槍』の富田酒造ですが、同じ通りの北端付近に蔵を構える山路酒造は安土桃山時代の天文元年(1532)に創業という日本で5番目に古い酒蔵だそうで、江戸時代には脇本陣も務めたそうです。
家族経営の小さな酒蔵で、ほとんど地元で消費されます。

日本酒の他に、もち米と麹、桑の葉を独自の方法で焼酎に漬け込み、伝統みりんの製法で造る『桑酒』も創業当時から受け継いでいてこの山路酒造を代表する商品の一つです。
色はうすいコハク色で、ほんのりとフルーティーでかつチョコレートのような香ばしさもかすかに。
飲み口はスッキリとして、旨味は少なくやや芳醇な辛口のお酒でした。
燗にすると、最初の印象はこれもアッサリとした淡麗なお酒。
しかし、その後に深いコクと厚みのある旨味がじっくりと浮上してきました。
淡麗辛口ですが自然に杯がすすむ。
ほ〜っという感じで、
うまいお酒です。
お気に入り度:3
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2017年 11月 25日
天井川 純米吟醸原酒[古川酒造]

醸造元:古川酒造有限会社
URL:なし
住所:草津市矢倉1丁目3-33
電話:077-562-2116
創業:江戸時代(詳細不明)
使用米:吟吹雪
精米歩合:55%
日本酒度:+
酸度:-
アミノ酸度:-
アルコール度:17度以上17.9度未満
購入価格:720ml:1,458円(税込み)
草津市は滋賀県第二の都市で、江戸時代に中山道と東海道が合流するが分岐する追分け宿として発展。通常の宿場町の2倍の規模を誇ったといいます。
草津市中心部の南郊外。JR東海道本線の草津駅と南草津駅の丁度中間地点で、旧東海道筋が草津川を潜った先の矢倉1丁目に蔵を構える古川酒造。
創業は江戸時代だそうですが、戦時中に蔵を失い資料を消失。
蔵元は代々「宗吉」(そうきち)を名乗ります。
ラインナップは広げず、主力銘柄の『宗花』(むねはな)などを数種類を主に地元向けに造っています。
『天井川』は地元酒販店が企画した公募によって生まれた新ブランド。
冒頭の文で、東海道が草津川を潜ると書きましたが、「天井川」とは砂礫の堆積により河床が周辺の平面地よりも高くなった川の事で、蔵のすぐ近くを流れる草津川もまた天井川なのです。

かつては鉄道も国道も川底の下を貫いていましたが、新しく建設された放水路の整備で現在草津川は廃川となり、公園などに改修中です。
色はうすいコハク色で、酒粕、奈良漬けのような香ばしく甘い香りが足り上がります。
スッキリとした飲み口ですが、華やかさがあります。
そしてすぐにガッツリした酸が立ち上がり、そのあとに濃醇な旨味のハーモニーが続きます。
原酒なので、ややアルコール度が高めですが、重くはありません。
しっかりとした飲み口で美味しいお酒です。
うまい。
お気に入り度:3
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2017年 11月 23日
浅芽生 特別純米 無圧無濾過生原酒[平井商店]

醸造元:有限会社平井商店
URL:http://www.biwa.ne.jp/~asajio/
住所:大津市中央1丁目2-33
電話:077-522-1277
創業:万治元年(1658)
使用米:吟吹雪
精米歩合:60%
日本酒度:+3.0
酸度:2.0
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,620円(税込み)
滋賀県の県都、大津市は古くから琵琶湖の湖上交通の要衝であり、物流の中継地として栄えた町。
町の中心部にある中町商店街。アーケードに覆われたこの商店街の一角に蔵を構える平井商店は江戸時代初期の万治元年(1658)に創業した歴史の古い酒蔵です。

かつては「大津酒」という言葉があり、この一帯は酒造りが盛んな土地でしたが、現在大津市の中心部に残る酒蔵はこの平井商店1軒のみ。
酒銘の『浅芽生』(あさぢお)は1677年に後水尾天皇皇子・聖護院宮道寛親王から賜った和歌より命名されたもので、「浅芽生」とは、葦に覆われた波打ちぎわを表す枕詞だそうです。
控えめながらもほのかにメロンのような立ち香。
フルーティーであると同時に、ほのかに木の香りを感じます。
飲み口は無濾過生原酒らしいフレッシュでフルーティー。
甘い米の旨みが濃醇で若々しいお酒です。
酸はひかえめ、苦味、渋味もほどよい若さ。
うまい、これはうまい酒です。
お気に入り度:4
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2017年 11月 15日
湖濱 特別純米酒[佐藤酒造]

醸造元:佐藤酒造株式会社
URL:http://www.nagahamanosake.com/
住所:滋賀県長浜市榎木町979
電話:0749-68-3600
創業:平成22年(2010)
使用米:山田錦
精米歩合:0%
日本酒度:60+
酸度:1.5
アミノ酸度:1.8
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,512円(税込み)
佐藤酒造、聞いた事が無い酒蔵だった。
しかしこの佐藤酒造の銘柄の一つ『大湖』という酒は飲んだ事があった。
たしか滋賀第一酒造という酒造メーカーの酒だったような。
この滋賀第一酒造は滋賀第一酒造協同組合といい、会社ではなく組合組織だった事が調べてわかりました。
戦時中の企業統制令により長浜周辺の酒蔵8社が合同した組合組織だそうです。
しかし、2011年に経営不振により解散してしまいました。
その時、前身の酒蔵8社の一つで、組合の理事だった佐藤硬史が独立を決意し、あらたに酒造免許を取得して2010年に設立したのが佐藤酒造でした。
酒蔵の場所は北陸自動車道・長浜IC東側の近くの田園地帯の中の榎木町という集落。
佐藤酒造が元々あった場所ではなく、偶然見つけた理想的な環境の空き工場を蔵に改装しました。
主力ブランドの『湖濱』は明治中期に長浜八幡宮前で初代佐藤悦治郎が創業した前・佐藤酒造の銘柄。
その他滋賀第一酒造から引き継ぎ『六瓢箪』(むびょうたん)なども順に復活。
また『生乍自由』(うまれながらじゆう)は創立5周年記念の新ブランドを展開。
さらには羽田空港の日本航空ダイアモンドプレミアラウンジで提供されるほどにもなった新進気鋭の酒蔵です。
香りは控えめというか無いです。はい。
飲み口も、とてもスッキリとしています。
しかし凝縮された米の旨味を感じるようなフルーティーさがその背後に。
そしていつの間にか濃厚な旨味が渋味、苦を包み込む。
ああ、これはうまい!
初めはライトな辛口系の酒と思ったけど、意外にも濃醇でありながらも澄んだお酒。
キレイなお酒です。
燗にしてみる。酒質というかこのお酒の性格的なところは大きく変わらない。まあぶれないというか。
でも厚みのある丸い飲み口で、やさしさと自己主張が高い次元でバランスがとれている。
それがこのお酒の燗のうまさを表現しています。
うまいな、うまい!
お気に入り度:4
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2017年 11月 12日
道灌 特別純米 吟吹雪[太田酒造]

醸造元:太田酒造株式会社
URL:http://www.ohta-shuzou.co.jp/
住所: 滋賀県草津市草津3-10-37
電話:077-562-1105
創業:明治7年(1874)
使用米:吟吹雪
精米歩合:60%
日本酒度:+1.0
酸度:1.8
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,350円(税込み)
草津市は滋賀県第二の都市で、江戸時代に中山道と東海道が合流する宿場町として栄えました。
旧東海道筋にあたる商店街の一角に蔵を構える大田酒造の創業は明治7年(1874)ですが、江戸城を築城した室町時代後期の武将・太田道灌を遠縁に持つ家柄だそうです。
江戸時代に太田道灌の末流である太田若狭守正長が三代将軍徳川家光の命を受け、水陸交通の要衝であった草津宿を見守る関守の大役を代々務めます。
しかし、明治の廃藩置県を迎えるにあたり、武士から商人と身分を変え酒造りを始めました。
現在大田酒造は本社の「道灌蔵」と「不盡蔵」の他に兵庫の灘に「千代田蔵」を持ちます。ここにはヴォーリスが設計した貴賓館があり、神戸近代建築100選に選ばれています。

またフランスでワインの醸造技術を学び、滋賀県で唯一ワイナリーを有する酒蔵でもあり、ワインから日本酒、焼酎まで手がける日本一小さな「総合酒類メーカー」を自称しています。
色は薄いコハク色。
濃醇でフルーティーな米の甘みを感じる立ち香。
飲み口はスイカのような爽快なフレッシュさと、そのあとガツンとくる重厚な辛口。
しかし、すぐに辛さはスーッと昇華して、キレイに着陸する後味と爽やかなキレ。
フルーティーで爽やかな辛口のお酒です。うまい!!
燗にすると、透明感が高くなり、華やかさも増して、スッキリとした旨口のお酒になります。
とにかく素直で、尖った辛さは一切なく、やさしく旨いお酒になります。
ああ、うまい、うまいです。
燗最高!
お気に入り度:4
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2017年 10月 26日
松の司 純米吟醸 楽[松瀬酒造]

醸造元:松瀬酒造株式会社
URL:http://matsunotsukasa.com/
住所:滋賀県蒲生郡竜王町弓削475
電話:0748-58-0009
創業:万延元年(1860)
使用米:山田錦(滋賀県産)
精米歩合:60%
日本酒度:+4.0
酸度:1.5
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,460円(税込み)
名神高速道路が町を横断する蒲生郡竜王町は西の竜王山(鏡山)と東の竜王山(雪野山)の二つの竜王山に挟まれている事に町の名が由来。
中山道に面した鏡地区は中世鎌倉期の中山道の宿場町として発展し、江戸時代には武佐宿と守山宿の間の宿として本陣、脇本陣を有して賑いました。
名神高速道路と中山道(国道8号線)に挟まれ、日野川沿いに整然と区画された広大な水田地帯の中の弓削地区に蔵を構える松瀬酒造は江戸時代後期の万延元年(1860)に創業した小さな酒蔵です。
その松瀬酒造が醸す『松の司』は県内で最も名の通った銘柄の一つです。
まだ下町の小さな酒屋で無名だった東京の「はせがわ酒店」との出会いが運命的な出会いだったとか。
基本地元向けの酒造りを行っていますが、東京でも手に入ります。

基本小売りは行っていませんが、同族が経営する近くの「松瀬酒店」で購入できます。
松瀬酒造の全銘柄が揃います。
住所:滋賀県蒲生郡竜王町林809
電話:0748-57-0104
熟成の度合による風味の向上や変化に強いこだわりを持っており、HPに年度表示ごとの飲み頃温度の説明も載せているほどのこだわりを持った酒蔵。
まず最初の印象は、華やか。
控えめながらも桃の花びらのような吟醸香がここちいい。
飲み口もやさしい旨味がまずあって、やさしい酸味と続く雑味の無いキレ。
うまい。うまいです!!
ああ、キレイでうまい酒だ!!
とにかく、米の持つ旨味と華やかさを引き出したキレイでうまいお酒です。うまい!
お気に入り度:4
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2017年 10月 22日
湖東富貴 ハートランド純米酒[西勝酒造]

醸造元:西勝酒造株式会社
URL:http://www.shuyukan.com/
住所:0748-32-2054
電話:滋賀県近江八幡市仲屋町中21
創業:享保2年(1717)
使用米:-
精米歩合:65%
日本酒度:+3.0
酸度:-
アミノ酸度:-
アルコール度:15度以上16度未満
購入価格:720ml:1,240円(税込み)
近江八幡は八幡堀の水郷風景と江戸時代を偲ばせる古い町並みが残り、映画やテレビのロケの数多く行われている近江八幡は、豊臣秀次20万石の城下町に始まり、また全国に名をはせた「近江商人」の町です。
現在この近江八幡に唯一残る西勝酒造が蔵を構える「仲屋町」は“すわいちょう”と読むそうです。かつて仲買商人の町だったことから、商売の仲買を意味する「すあい」に由来するのだそうです。
西勝酒造は蒲生郡古保志塚村(現在の東近江市市辺町)で庄屋を勤め、苗字帯刀を許されていた初代西村勝右衛門が、江戸時代中期の享保二年(1717)に創業。屋号は西村勝右衛門の名を縮めたものでしょうか。
蔵元は代々「勝」の字を継承しているのでしょうか、現在の蔵元は西村勝治郎氏。
主力銘柄の『湖東富貴』(ことぶき)は、江戸末期に蔵元と親交のあった学者が地相を占い、「この湖東の地、富貴の相あり。」 と言ったことに因み、また「寿」の表音に、湖東富貴の四字を当てたもの。

現在は明治蔵2棟を改装して、ゲストハウス及び多目的スペース「酒遊舘」としてオープン。
一説には自醸していないとの話もありますがどうなんでしょうか。
「ハートランド純米酒」は蔵のある近江八幡の古い町並み保存・まちづくり運動「ハートランド」にちなみます。
色はうすいコハク色。
地酒っぽい牧歌的で芳醇な乳酸香。
澄んだ厚みのある深い旨味と辛口が同居した、うまい酒です。
この蔵の酒の特徴でもある純米古酒をブレンドしたコクのある辛口のお酒です。
燗にすると、古酒ブレンドの独特な風味と香りはどこかに飛んでしまい、澄んだクリアでフルーティーな辛口のお酒になります。
丸みのある酸味と苦味と渋味が効いて食中酒としてもバランスの取れた美味しいお酒です。
地酒っぽいクセがダメな人は燗か常温がいいかも知れません。
燗うまいです。
お気に入り度:3
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2017年 10月 17日
鈴正宗 特別純米 BLUE 火入れ原酒[矢尾酒造]

醸造元:矢尾酒造株式会社
URL:なし
住所:滋賀県蒲生郡日野町中在寺512
電話:0748-53-0015
創業:寛政3年(1791)
使用米:日本晴
精米歩合:60%
日本酒度:-
酸度:-
アミノ酸度:-
アルコール度:17度未満
購入価格:720ml:1,150円(税込み)
矢尾酒造のある蒲生郡日野町は八幡商人、五個荘商人とならぶ近江商人の一つ日野商人の町です。
また奥州藤原氏の流れを組む戦国武将蒲生氏郷が鎌倉時代から豊臣秀吉の時代まで、およそ500年近くの間根拠地とした中世の城下町でもあった場所です。
行商によって富を築き始めた日野商人は次第に店舗経営に移行し、本家・本店の置かれていた日野には豪荘な屋敷が建てられていきます。これが、今に残る日野の古い街並みの中心となっています。
そんな日野商人の古い町並みが残る日野町の中心部から国道307号線を北へ約4km。
矢尾酒造は中在寺(なかざいじ)という小さな集落にあります。ここは旧西桜谷村の中心地だった場所です
日野町には近年まで3件の酒蔵がありましたが、現在残るのは矢尾酒造一軒のみ。
矢尾酒造の創業は江戸時代中期の寛政3年(1791)です。

主力銘柄『鈴正宗』の「鈴」は神社の鈴。そして「正宗」は名刀の代名詞。鈴の音のように美しく広く響きわたり、名刀正宗のごとくキレのある酒を願って銘々。
今回購入した「特別純米 BLUE」はかなりポップな攻めのラベルデザインですが、これは矢尾酒造の新たな販売戦略に基づいて作り出したした新シリーズの一つです。
白ワインのような色の乗った薄いコハク色で、香りは、ふくよかな米って感じです。
旨味のあるどっしりと腰の据わった純米酒ですが、原酒の押しの強さ、重さは一切ありません。
流行の無濾過生原酒に近い印象ですが、火入れされているので角が取れている。
酸味、渋味、苦味が最初の段階からバランス良く融合して来て、重厚な甘みと共にまじりあって、スッと消えていくキレ。
うまい。うまいな〜。
燗にすると、ふくらむ…。
やさしく透明に膨らみますよ〜。
透明だけどしっかりとした包容力のある旨味に漂う感じにうまい。
うまみに包まれたコクの深い余韻。
口福。的な。うまい酒。
お気に入り度:4
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2017年 10月 15日
富鶴 本醸造 本仕込み[愛知酒造]

醸造元:愛知酒造有限会社
URL:http://www.tomitsuru.co.jp/
住所:滋賀県愛知郡愛荘町野々目207
電話:0749-42-2080
創業:明治2年(1869)
使用米:山田錦・日本晴
精米歩合:65%
日本酒度:+2.0
酸度:-
アミノ酸度:-
アルコール度:15度
購入価格:720ml:1,512円(税込み)
滋賀県にあるのに愛知酒造。
これは愛知県ではなく、この滋賀県の琵琶湖東部に位置する愛知(えち)郡に由来。
よって社名は「えちしゅぞう」と読みます。
彦根城、井伊家23万石の城下町、彦根市の南に位置する愛知郡。
平成の大合併で2006年に秦荘町・愛知川町が合併して発足した愛荘町の旧秦荘町にある酒蔵です。
愛知酒造はもともと、現在の場所より3kmほど東の旧秦荘町東出において明治2年(1869)に創業しましたが、地下水に鉄分が多く含まれ、酒に色がついてしまうなど酒造りに適さない場所であった事から、昭和の初めに、より良質な愛知川水系の伏流水が出る現在地に蔵を移転しました。
現在の蔵元、5代目の中村哲男さんの曽祖母にあたる「富さん」が切り盛りしていた事からその名の「富」と、めでたい「鶴」を組み合わせた『富鶴』が現在に続く主力銘柄です。

甘く牧歌的な乳酸香。
飲み口はほんのりと甘く、深く、そして意外にも澄んだ飲み心地です。
透明感のあるスッキリとした淡麗辛口のお酒。
結構大手酒造メーカーの醸すお酒のような、バランス良くスタンダードな印象のお酒でした。
燗にすると、香りも旨味もふくらみ、やさしく、旨い。
これぞ燗酒って感じ。
うまいですよ。
お気に入り度:3
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